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No.12

つつい・やすたか
 1934年大阪府生まれ。SF黎明期の1960年にSF同人誌「NULL」を主宰。著作に「虚人たち」(泉鏡花文学賞)、「夢の木坂分岐点」(谷崎潤一郎賞)、「ヨッパ谷への降下」(川端康成文学賞)、「わたしのグランパ」(読売文学賞)など多数。俳優としても活動中。

嫌煙権運動の黒幕は見えているぞ!

養老孟司氏による、「そもそもこの禁煙運動は何か他のものを隠すためのスケープゴートかもしれない」という鋭い指摘を、さらによく考えてみた。考えた結果、「例えばベトナム戦争で枯れ葉剤を使って、グリーンピースその他の批判が強くなると、ニクソンが命じて批判勢力を反捕鯨運動に誘導させたようなものではないか」という彼のことばがヒントとなって、嫌煙権運動によって隠されようとしているものの正体が次第にはっきりしてきたのである。いやむしろ、それは隠されようとしているのではなく、自らが黒幕となってこの嫌煙権運動を推進させているらしいことがはっきりしてきたと言えよう。

頭のいい諸兄諸姉におかれては、もうおわかりのことと思う。それはつまり、自動車産業の業界であり、アルコール飲料関係業界なのである。

自動車産業の業界に関しては、これはもうブッシュ政権の後ろ盾ということでもあり、おのれに有利な政策を容易に政府に強制することができる。即ち自動車産業に対する批判勢力を嫌煙権運動に誘導するという政策である。事実嫌煙権運動はアメリカに始まり、現在でもこれを最も激しく展開しているのはアメリカだ。言うまでもなくそれは、排気ガスによる地球温暖化現象から大衆の眼をそらせようとするためのスケープゴートとしてである。京都議定書以来アメリカが目の敵にされている排気ガス問題を煙草に転化しようとする陰謀である。

しかし煙草を愛煙家一人ひとりが一日に何百本喫ったところで、地球の温度があがって極地の氷が溶け、全世界の海の水位があがって洪水が起りやすくなるということはない。また世界中の多くの人がニコチンの排気によって激しい喘息に悩まされるということもない。石油価格がいかに暴騰しようが、煙草によって経済が混乱することもないし、煙草による交通事故死というものも皆無である。自動車の撒き散らす公害は煙草の煙による公害の何千倍、何万倍、いや何十万倍にも及ぶ筈であり、自動車によって人類が滅亡することは大いに有り得るが、煙草の煙でもし人類が絶滅するとすれば、とうの昔に絶滅している筈なのである。

アルコール飲料関係業界が恐れるのは過去にアメリカで実施された禁酒法の再来であろう。アルコール中毒患者乃至アルコール依存症や酔っぱらいによる害毒はあの時代よりも蔓延していて、アルコールが青少年を犯罪に走らせていることもまた明白であり、その弊害は煙草の比ではない。この事実から大衆の眼をそらせようとするのが即ち嫌煙権運動である。しかし、一気飲みさせられた学生が急性アルコール中毒で死亡した事故はたびたび報道されるが、煙草の一気喫いを強制させられた学生が急性ニコチン中毒で死亡した例はない。暗い夜道を酔っぱらいがやってくれば婦女は警戒するが、喫煙者がやってきても警戒されることはない。電車の中では酔っぱらいがしばしば他人に迷惑をかけ、悪臭を放つ反吐を吐いたりする。車内で婦女子にいたずらするのも酔っぱらいである。しかし精神的均衡のとれた喫煙者が車内で暴れたり反吐を吐いたりすることはないし、婦女子にいたずらすることもない。

このように考えると、煙草が諸悪の根源であるかのような議論はずいぶん無茶なものであることがわかる。最近日本の煙草のパッケージの注意書きがさらに大きくなったが、国民の健康のためであるというなら、むしろ次のような注意書きを大きく記載すべきであろう。
「自動車は人間の健康に害があるばかりでなく、人類滅亡を招く危険物です」
「お酒の飲み過ぎは健康に害があるばかりではなく、他人に迷惑を及ぼし、犯罪を招く恐れがあります」

今月のお薦め

東京オペラシティ53階のとうふ料理「八かく庵」を褒めよう!

湯葉、豆腐(この店では「豆富」と書いているが)、豆乳などをメインにした健康的な料理店がある。京王新線・初台駅前の東京オペラシティビル53階にある豆富百珍「八かく庵」だ。店内は広くて、都心の夜景を見晴らせる窓際の席に案内されると一瞬にして幸福感に満たされる。

この店は八割が喫煙席というすぐれもの。昼時は十一時三十分から十五時まで、八かく御膳が千五百八十円、しあわせ弁当が二千四百八十円。夕時は十七時から二十三時まで、湯葉しあわせ膳と、もてなし豆富膳が四千五百円、豆乳白づくしが五千円、ゆば八かく庵と、もてなし八かく庵が五千八百円、名物とうふすきが六千円である。

豆腐は京都の藤野から取り寄せたものをその日のうちに出す。その他湯葉は奥久慈のゆばの里から、生麩は京都の麩嘉から、野菜は京都の錦市場からという具合で、いずれもこだわりの素材である。

酒類も揃っていて宴会もできる。電話は03-5304-5164。女の子たちのサービスも満点の「八かく庵」へ行こう!