- 個人サイト Otearai Web 作者 nagura
- 1974年京都府生まれ
平日はサラリーマンまがいの勤務をこなすかたわら、自サイトその他で腑抜けた駄文を連ねています。現在吸っているタバコはマイルドセブン(理由は安いから)。酒を飲むと気が大きくなってマルボロを買ってしまい、翌朝後悔することが多い。
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先日わが家で飲み会をしたとき、ぼくの使っている灰皿を目にした後輩が声を上げた。
「うわ、灰皿洗ってないんですか!?」
言われてみれば確かにその通りだった。今まで灰皿を洗うという習慣がなかったし、正直なところ、洗うという発想そのものがなかった。しかしながら後輩君によれば、これではタバコ呑みとして二流三流であり、なぜなら汚れたままの灰皿だと吸殻を捨てるたびに灰が周囲に飛散する。最悪の場合、食事などに降り注いで重大な健康被害におよぶ可能性もある。したがって灰皿は、常日頃からピカピカにしておくべきだというわけである。

お邪魔した先輩宅の灰皿にケチをつけたうえ説教するなど、まったく失礼千万な後輩であるが、こう言われると一理あるような気もしてくるのが悔しい。悔しさのあまり、「だったら吸殻を捨てるとき、新しい灰皿を上に重ねてから移動させたら大丈夫でしょうが!」と大見得を切ってみたものの、「新しい灰皿なんて持ってるんですか? それにもし持ってたとしても、その灰皿が灰まみれだったら同じことでしょう」と即座に反論され、そのまま押し黙らざるを得ないという、誠にかっこわるい展開になってしまったのだった。
思い返せば学生時代、レストランでアルバイトしていたときも、客に出す灰皿はピカピカに洗ったやつに限られていた。で、一本でも吸殻が入っていたら、その灰皿は食器洗浄器に入れてキレイにしたうえで、乾いた雑巾でキュッキュッと拭いておくものと定められていた。
そういや、実家の応接間のテーブルにも重量感のあるガラス製灰皿が鎮座していて、こちらのほうもいつだってピカピカに磨きあげられていた。子どもの頃、この灰皿に水を張って金魚を泳がしていたら親から大目玉を食らったことがあるが、それでも当の金魚はピンピンしていたところを見ると、それだけキレイに保たれていたのだろう。
それなのに、いざ一人暮らししてみると、灰皿を洗うという発想そのものが吹き飛んでしまうのだから情けない。おまけに来客があっても、灰まみれの灰皿をそのまま出していたのだから恥ずかしいと言うより他ない。今まで誰からも咎められなかったけれど、きっと指摘しにくくて皆黙っておられたのだろう。
ちなみに今回の灰皿は、ずいぶんと前に、当時お付き合いしていた女性から頂いたものである。バレンタインデーにハート型の陶器に入ったチョコレートを頂戴して、そのハート型の形状がタバコを置くのに好都合だったものだから、陶器を灰皿として使うようになったという次第。その後、当の女性とは諸事情あってお別れしたのだが、陶器のほうはただ使いやすいからというだけで、なんとなく愛用し続けていたのだった。
さきほど思い立って、洗剤をつけてゴシゴシ磨いてみたものの、長年にわたってこびりついたヤニはいくら洗っても一向にとれず、とうとう音を上げて断念してしまった。積年にわたる自分の心の汚れを目の当たりにしたようで、妙にバツが悪かった一件。
灰皿の汚れも心の汚れも、こびりつく前に掃除しておくほうがいいようで。
