個人サイト Otearai Web 作者 nagura
1974年京都府生まれ
平日はサラリーマンまがいの勤務をこなすかたわら、自サイトその他で腑抜けた駄文を連ねています。現在吸っているタバコはマイルドセブン(理由は安いから)。酒を飲むと気が大きくなってマルボロを買ってしまい、翌朝後悔することが多い。
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こちら京都でも6月1日からタスポが導入されたわけだが、その直後、職場の近くにあるたばこ屋の自販機にこんな貼り紙が登場した。

「タスポお貸し致します。気軽にお声かけてください」

タスポの普及率が当初の目論見を大きく下回って、たばこ屋さんが四苦八苦していることはご周知の通りである。これまで自販機で買っていたたばこ購買層が、タスポがなくても買えるコンビニ等に流れてしまった結果だと言われている。

しかしこの自販機を置いている店は、静かな反撃に打って出た。タスポが無くて自販機で買えない客のために、自前のタスポを貸し出すサービスを始めたのだ。カードの貸与を禁じているのは当の発行元だったはずだが、タスポの代わりに店主が「成人認証」して貸与するわけだから、法的には一応大丈夫なのだろう。

ただ、いつ来るとも分からぬ客にカードを貸すためだけに、自販機の傍らでじっとたたずんでいる店主の姿を見るにつけ、どうしてもひとつの疑問を禁じえない。

客と店主の双方がいるのに、何故タスポと自販機を媒介して売買しなくてはいけないのか? だったら自販機を使わずとも、はじめから店頭で販売すればいいんじゃないか? 

もしかすると自販機が委託設置されていて、権利の問題とかで店頭販売できないのかもしれないけれど。それにしても、自販機の横でタスポを貸すためだけに座っている店主の姿はあまりにも間抜けで侘しすぎて、ああ現代のエレジーだなあと思わず目頭が熱くなりかけたのだった。


ところで件のタスポ、ぼくは未だに入手していない。興味本位で作ってみようかと思ったこともあるのだが、わざわざ写真を撮るというのが面倒この上ないし、それより何より、業界やお上の「たばこ中毒者たちはどうせタスポ欲しがるだろうから」みたいな思いあがりが透けて見える気がしたからだ。

現在のところ、たばこはもっぱら近所の小さなたばこ屋でカートン買いしている。自販機の世話にならなくても済むよう、かばんの中に予備のたばこを一箱忍ばせておくという習慣もすっかり身についた。だから今のところ、タスポがなくても別段困っていない。

膨大な開発費と宣伝費を投じて導入されたタスポがこのままスベって、街中から自販機が姿を消したらどうなるだろう? おそらく上層部の責任が問われることはなく、立場の弱い小売店が泣き寝入りして損をかぶることになるのではないか。なにしろタスポで潤う業界は、初期の一斉導入によって「やり逃げ」できる態勢にあるだろうから。

そういや少し前、タスポを吊るして自由に買えるようにした自販機が槍玉にあげられたことがあった(おまけにこの自販機を県警職員が利用していたというから、ほとんどコントである)。

個人的には「でも、たかがタバコでしょ?」という根本的な滑稽さがどうしても拭えないのだけれど、まさに狂騒曲とでも言うべき昨今の動向は、眉に唾をつけつつも興味深く見守っていこうと思う。10年後には「タスポ」って口にするだけで笑いをとれる、ネタ的存在になってたりして。