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チェコ共和国を旅してきた上司から、土産にこんなタバコをいただいた。

「名倉さんって確かパイプ吸うんだよね。これ、よかったらどうかと思って」
おお、吸いますよ、大好きですともパイプたばこ! さすが我が上司、ぼくの好みをよく分かっていらっしゃる。おまけに警告表示もチェコ語(?)で書かれているから、なにが書いてあるかさっぱり分からず、すこぶる気色がよい。こういうタバコを待ってたんですよ!!
…と喜んで頂戴したのだが、ふと気になったのがパッケージに書かれている "HAND ROLLING TOBACCO"の文字。あれ? ひょっとしてこれ、手巻きタバコじゃないの!? いやいや、そんなわけはない。きっと手で丸めてある高級な葉っぱに違いない。というか、そうじゃないと困る。
しかし、おそるおそる包みを開けてみたら案の定、紙巻き用のジャグタバコだった。ううむ。手巻きタバコは自分でやったことがないし、そもそもロール機などの道具も持っていない。いったいどうやって吸えばいいんだろう。
で、とりあえずは手持ちのキセルに詰めて吸ってみたのだが、いまひとつ上手く火がつかない。キセル用の葉っぱに比べるとカットが大きいものだから、キセルの小さなボウルではうまく燃えてくれないらしい。それに、せっかくの外国みやげをキセルで吸うというのはどうも気分が出ない。

そこで頭に浮かんだのは、紙巻きタバコ用のペーパーが物資不足でなくなった戦時中、辞書の紙で葉っぱを巻いて吸っていたいたというエピソードである。辞書の紙は薄いからタバコを巻くのにちょうどいいとか、確かそんな話を聞いたか読んだかした気がする。
ただ、最近はもっぱらCD-ROM辞典をハードディスクに格納して使っているから、手持ちの辞書は学生時代に使っていたコレのみである。辞書にしてはいささか紙が分厚い気がするけれど、果たしてうまく巻けるものだろうか
(ちなみに出版関係の知人に聞いた話では、本の紙というのは厚いものより薄いもののほうが上等なんだそうで)。

使えるページを破るのはちょっと惜しいので、巻末の空白部分を用いることにした。するとタバコの害についての引用文献が偶然載っていて、このページを使うことに即決したのでありました。

…というわけで、空白部分をハサミで切り取って、

合成のりを使うと燃焼したとき有害ガスが出ないか心配なので、天然素材であるごはん粒を用いて、

苦心して巻いてみたのが、この無様なありさま。ああ、なんだこれは。まるで小学生のタバコごっこじゃないか(いや、それ以下だ!)。

せっかくなので火をつけて吸ってみたものの、一向にちゃんと燃えず、口の中に広がるのは紙が燃えるたき火のようなニオイのみ。せっかく美味しそうなタバコをいただいておきながら、いったい何をやってるんだオレは。

こうなったら意地でもちゃんと吸ってやる! と思い直して白羽の矢を立てたのが、昨年ベトナムで購入したマルボロ。あまりの不味さに音を上げて、ずっとそのままになっていたのだ。こいつの葉っぱを抜いて、そこにジャグタバコを詰めなおしたらカンペキではないか。

さっそくチマチマと実行してみる。小さなダンゴ状にした葉っぱを、チョンチョンとつまようじで詰め込んでいく。かなり地味な作業ではあるが、やり始めるとけっこう楽しい。回数を重ねるごとに上達していくのが実感できるのも嬉しさに拍車をかける。

三分ほどかけて詰め終えたシガレット、フィルター部分を半分ほど落として火をつけてみたところ…おおっ、これは旨い!! ズドンと濃厚な煙でありながら、葉っぱが新鮮で湿気を保っているせいか、いがらっぽさのないしっとりとした味わいなのだ。その中に広がるほんのりと甘い香りは、ふつうのタバコにはちょっと真似のできない風味である。いやー、優雅な気分だなァ。

紙巻きタバコってこんなに美味しいものだったのかと感動のあまり、ついつい根元につまようじを刺して、最後まで吸いきってしまったのでした。ああ、優雅じゃ優雅じゃ。

こうやってチマチマと手間ひまかけて吸うタバコもいいものだけれど、やっぱり紙巻き機が欲しいなァと思った本日。
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